「FIBA 女子ワールドカップ 2018」は最終日を迎え、ラストゲームはFIBAランキング1位のアメリカと3大会ぶりに優勝を目指すオーストラリアによる決勝戦。世界一のアメリカがオーストラリアを73ー56で圧倒し、3連覇を成し遂げ、9日にわたって行われた熱戦の幕が閉じました。女子日本代表と同じ予選グループC同士であるスペインvsベルギーの対戦となった3位決定戦。予選で敗れた後、しばらく呆然として立ち上がれなかった地元スペインが67-60でリベンジを果たし、有終の美を飾っています。ベスト8決定戦で敗れた日本は、予選ラウンドの勝敗などにより、今大会は9位という成績でした。
大会MVPはアメリカ#10Breanna STEWART選手が受賞。平均23.8点で得点王になったオーストラリア#8Liz CAMBAGE選手は、2年前の国際強化試合で来日しているので覚えている方も多いはずです。日本が延長戦の末に勝利したベルギーのエース#11Emma Meeseman選手が、平均10.7本でリバウンド王。アシスト王は同じくベルギー#55Julie ALLEMAND選手がそれぞれリーダーズのトップに立ちました。
日本人選手では#15本橋 菜子選手(東京羽田ヴィッキーズ)がアシスト5.8本、3Pシュート成功率50%(5/10本)でともに2位。#8髙田 真希選手(デンソーアイリス)はフリースロー12本全てを決めて100%、スティールも平均2.8本で見事トップに輝いています。日本の大きな課題であるリバウンドで5位に位置づけた#52宮澤 夕貴選手(JX-ENEOSサンフラワーズ)は平均9.5本を記録し、世界の大きな相手にも素晴らしい記録を残してくれました。
女子日本代表に初選出され、はじめて世界との戦いに挑んだのは目覚ましい活躍をした本橋選手をはじめ、#41根本 葉瑠乃選手(三菱電機コアラーズ)、#88赤穂 ひまわり選手、#99オコエ 桃仁花選手(ともにデンソーアイリス)の4名です。赤穂選手は、昨年行われたFIBA 女子U19ワールドカップに出場し、世界4位の好成績を収めました。しかし、トップチーム同士がしのぎを削り合う舞台は全然違ったようです。
「アンダーカテゴリーは他の国もまだ体ができていなかったり、まだ技術はそこまでという感じがします。でも、このレベルの選手たちは上手さがあり、体もひと回り大きくなっていて全然違いました」
日本がベスト8決定戦で敗れた中国は、20歳の赤穂選手よりも年下の#4Yuan Li選手(18歳)と#14Yueru Li選手(19歳)が先発を任されています。ファイナリストのオーストラリア#13 Ezi MAGBEGOR選手も昨年のFIBA 女子U19ワールドカップに出場しており、今大会は平均7.6得点を挙げて存在感を示しました。同じくフランス#12Alexia CHARTEREAU選手も平均7.9点を挙げており、赤穂選手やオコエ選手と同世代の選手たちの活躍も目立ちます。平均1.5点に終わった赤穂選手は「同世代の選手たちが試合に出て、すでに活躍している選手も多かったので、負けられないと思いました」とライバルたちを意識しています。
ベルギー戦の終盤に起用された赤穂選手に対し、「ディフェンスの面で期待していた」と言っていたトム・ホーバスヘッドコーチ。「自分でも、ディフェンスのために試合に出てる場面が多いと分かった部分があったので、それはすごく自信になりました」とその期待に応える活躍でした。同時にフィジカル面での課題点を挙げていますが、それは今後の努力次第であり、時間が解決してくれることでしょう。
シューターとして期待された根本選手でしたが、平均出場時間3分では結果を出すことができず、無得点に終わりました。今大会の感想を聞けば、「悔しいです」と即答。数ある悔しさの中でも「ケガをしていたときに支えてもらった人たちに対し、プレーで恩返しすることができなかったことが一番悔しいです」。4月からはじまった強化合宿の序盤でケガをし、別メニューを余儀なくされた根本選手。合宿を重ねるごとにカットされる選手もいましたが、それでもホーバスヘッドコーチは根本選手に期待し、復帰を待っており、最終メンバーに選びました。
「メダル獲得という目標があり、それに向かって半年間も努力してきたのに、あっという間の4試合で終わってしまったことも悔しいです。自分としてももっともっとできたと感じていますし、チームとしてももっと上に行けたと思います。悔しさがいっぱいこもっています」
本橋選手は「経験がやっぱり私は足りないと思いました」と言い、オコエ選手も「自分の若さや甘さが少し出てしまったと思います」と反省点を挙げました。しかし、初代表は誰もが通るきっかけであり、思うような活躍ができないこともまた経験です。赤穂選手が挙げたフィジカルの課題同様に、時間が解決してくれるはずです。この経験を糧にし、次なる機会までにその差を埋めるためにも努力し続けるしかありません。
ベスト12で早々に今大会を終えた女子日本代表はすでに帰国の途につき、10月19日(金)よりWリーグに備えます。2020年東京オリンピックへ向け、さらなる激しい争いがはじまります。世界レベルの女子日本代表が活躍するWリーグにぜひ足を運びいただき、さらなるご声援をよろしくお願い致します。
■大会最終結果 優 勝:アメリカ(3大会連続10回目) 第2位:オーストラリア 第3位:スペイン 第4位:ベルギー 第5位:フランス 第6位:中国 第7位:カナダ 第8位:ナイジェリア 第9位:日本 第10位:トルコ 第11位:ギリシャ 第12位:セネガル 第13位:ラトビア 第14位:韓国 第15位:アルゼンチン 第16位:プエルトリコ ※9位以降は予選ラウンドの勝敗などによって決定
■MVP Breanna STEWART(アメリカ#10)
■大会ベスト5 Emma Meeseman(ベルギー#11) Liz CAMBAGE(オーストラリア#8) Astou NDOUR(スペイン#45) Breanna STEWART(アメリカ#10) Diana TAURASI(アメリカ#12)